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官能小説もどき

フルタイムで働きながら官能小説家としてデビューも狙っているかみやなぎです。ひとまずの目標は毎日更新です。

「ボトル」③

店から出ようとしたわたしに白衣姿の40代くらいの女が声をかけた。
「私、ですか?」

「何かお忘れではないですか?ここではなんですから、事務所まで一緒にきてください。」
女はそういうとわたしに顔を近づけ、耳元で囁いた。
「化粧品、とったとこ見たのよ。逃げたら警察に通報するわよ」

その時、わたしは自分が万引きをしたと疑われているのだとわかった。どうしよう…でも、何もとっていないので逃げる理由はない。しかし、バッグの中はみられたくない。
考えている途中で白衣女はわたしの腕を掴み、店の中へ連れて行った。店内ではお客や他の従業員が女とわたしを見ている。万引きなんかしていないのにわたしはつい俯き足元だけを見て歩いていった。

「さ、盗ったモノをだして」
事務所は長机とパイプ椅子だけがある殺風景な部屋だった。わたしは奥の椅子に座らされた。

「わたし、何も盗っていません。あなたの見間違いです!」わたしはバッグをぎゅっと抱きしめながら言った。盗ってなんかいない。私は探していただけだ。バッグの中にはその見本となるモノがはいっているだけなのだが…
「…認めないのね。仕方ない、バッグの中のもの全部だしてちょうだい」
わたしは恥ずかしさのあまり自分でも顔が赤くなるのを感じた。なかなかださないので、女がバッグを取り上げ、中身を出していった。
「財布、携帯、カードケース…名前は秋山由美…」
その時、女の後ろのドアが開いて男が入ってきた。
「林さ~ん、ごめん、遅くなって~。あれ、秋山さんどうしたの?」
田辺くんが入ってきた!机の上のモノをじっと見つめている。わたしは恥ずかしくなって泣きそうになった。

「店長の知り合いですか?万引きで引っ張ってきました。今盗んだ物を確認しています」


長机の上にはわたしのバッグの中身がすべて出されていた。財布、携帯、カードケース、化粧品の入ったポーチ、生理用品の入ったポーチ。恥ずかしいことにどちらのポーチも中身をチェックされていた!そして、大小さまざまなサイズのボトル…。もちろん、これらはわたしが家から持ってきたものだ。中身はすべて空。きっとこの空ボトルをバッグからだしたときに盗ったと見間違えたのだろう。

田辺くんが確認をして
「店の商品はないようですね・・・」と言った。





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