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官能小説もどき

フルタイムで働きながら官能小説家としてデビューも狙っているかみやなぎです。ひとまずの目標は毎日更新です。

ラブ・ホテル ➂

こんな風にセックスが失敗に終わっても緑は決して武志を責めたりしなかった。いつも武志のものを握りながらたわいもない話をして寝てしまう。今回もいつものように寝てしまっていた。
 (僕ももう眠らないと……)
 昼からとはいえ明日は仕事だ。海外へ行く前に今の業務を引き継ぎをしなければならない。いや、その前に緑に話さなければ。結婚を申し込むにしてもしなくても日本から出ることは説明しなければならない。結婚を二年後にしてそれまで遠距離で頑張れるのか、いやいや緑が遠距離でもいいと思ってくれるか。

 「ダメだ、考えすぎて眠れない!」

 シャワーを浴びて頭をスッキリさせようと、バスルームに入った。大きな浴槽と同じくらい大きなマットがある特殊な風呂だ。しかしマットプレイに必要なローションはない。なんのためのマットか武志にそのような性癖がないため、ラブホテルの風呂はそういうものかと思い、特別疑問に思わなかった。

 『絶倫ホテル、予約殺到!』
 『半年待ちのレアな部屋に泊まりました』

 もともと持久力がない武志も、緑と付き合い始めてからいろいろ強くなる方法を試してきた。食べ物に気を付けたり、塗り薬や飲み薬も購入した。しかし、格段に効き目はなくあきらめていた。

 (この部屋だったら、忘れられない夜になると思ったんだけどな)

 ネットでこの部屋の噂が流れていた。この部屋に泊まってセックスすると今までにないセックスができると。
 男の力がみなぎり、何度も強く求められるという。

 しかしそれは通常の体だった場合なのかもしれない。今の武志は普段から弱い上に精神的にも悩みがある。
 指輪をわたすのはとりあえずやめよう、そして海外に行くことをちゃんと話そう。
 少し熱めのシャワーを浴び、バスローブを羽織ろうとした時、武志は強烈な寒気を感じた。
 (まさか、レアな部屋って、幽霊いる、とかじゃ……)
 しかし、寒気は一瞬だけだった。熱いシャワーを浴びたつもりだったか湯冷めしたのかもしれない。タオルで髪の毛を吹きながら緑の寝顔を見つめた。


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