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官能小説もどき

フルタイムで働きながら官能小説家としてデビューも狙っているかみやなぎです。ひとまずの目標は毎日更新です。

ラブ・ホテル ①

 とある地方都市の幹線道路沿いにあるラブホテルの一室に私はいます。近くに駅はなく、このホテルを利用する客のほとんどは車で来ます。ホテルとはわからない外観でもうラブホテルとは言わないのでしょうか、ファッションホテル?ビジネスとして利用する方もいますし、女子会でパーティーするプランもあります。観光バスが横付けされて、沢山の外国人が泊まる時もあります。
 部屋はいかにも、って感じではなくおしゃれなシティホテルのようなインテリアで大画面のテレビ、ジュースとビールが何本か入った冷蔵庫。ベッドサイドに避妊具がなければ普通のホテルでしょう。フードメニューも豊富。会員になれば2品無料で食べられます。
 ただ、部屋によっては、お風呂が特徴的な部屋もあります。例えば4階の角部屋404号室は2階建て仕様で露天風呂があり、サウナ室もあります。私のいるこの401号室にはマットが風呂にあります。また、隣の402号室にはX型の大きな磔があり、拘束具が用意されています。女子会などには向きませんが、その種の趣味を持つカップルご夫婦には人気があり、基本予約制になっております。ああ、もちろん女子会やビジネス、観光で利用される方はごくふつうのお部屋がある2階3階に案内します。ご安心を。

 私がこの部屋にいるようになったのはそう……、いつからだったかな?最近年のせいか記憶があやふやで。確か3,4年前からだったように思います。私はただいるだけなので、この部屋にはごく普通に客がやってきて休憩したり泊まったりします。部屋が部屋なので利用される方は主にカップル。年に数度、女性が泊まります。
 ああ、今日も客が来たようです。



 「へえー、思っていたより綺麗な部屋ね。でもたけちゃん、今晩泊まって大丈夫なの?」
ベッドに座ってくつろぐ緑を見つめながら、武志は心の中でため息をついた。
 「あ、ああ、大丈夫。明日は昼からにしてもらったから」
 「それならいいけど、無理しないでね。あ、お風呂にお湯いれてくる」

 はあー

 部屋に入って二回目のため息をついた。椅子の上に無造作に置いた鞄の中身を考えながら。
 今日は緑の28歳の誕生日だ。付き合って4年。そろそろ男として関係のけじめをつけたいと思い、今日言おうと思い半年前から準備していた。なのに……


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ラブ・ホテル ②

「ねえねえ、お風呂に大きなマットがあったよー何に使うのかな?」
 恥ずかしそうな顔をして緑が戻ってきた。
 「今日のレストラン、とっても美味しかったー、夜景も綺麗だったし。たけちゃんがああいうとこ知っているってちょっと驚いちゃった」
 「会社の先輩に紹介してもらったんだ、景色がいいからって」
  武志の横に座った緑はディナーで飲んだワインが回ってきたのか、武志にもたれかかってきた。
 「来年の誕生日もまたあそこにいきたいな…」
 少し熱っぽい緑の体温を感じながら、返事ができない自分にいら立っていた。
 日本にいたらいけるんだけど……

 一週間前、武志は上司に呼ばれた。仕事も順調、緑の誕生日にプロポーズしようと指輪も購入した。呼ばれた理由は今抱えている案件の進捗状況の確認だと思っていた。
 しかし武志が聞かされたのは一か月後に出発の急な海外勤務。二年は戻って来られない。
本当ならレストランで指輪を渡し、プロポーズする予定だった。日本にいるのなら緑は断らないだろう。四年付き合ってお互いの結婚観や仕事を続けるか、子供が欲しいか、家事や育児の分担など話し合ってきたのだ。いや、話し合ってきたからプロポーズできないのだ。

 「私、結婚しても仕事は続けるからね、それだけは認めてね」

 緑がだした唯一の条件が『仕事を続ける』ということだった。彼女は総合病院の看護師だ。今の職場は人間関係もよく勉強にもなり、やりがいもある、らしい。辞める気はない、と言い切った。そんな彼女に仕事を辞めて俺と一緒に海外へ行こう、と言えなかった。

 心配事があるとてきめん身体に現れてしまう。緑と一緒にベッドに入った武志は今日何回目かのため息をつきながら緑に誤った。
 「ごめん、今日は無理みたい」
 三回に一回はこんなことになってしまう。せめて緑の誕生日の夜、プロポーズの時だけは失敗したくなくてこの部屋を予約したのだが、この部屋のジンクスも武志の心理的圧迫には勝てなかったようだ。
 「ううん、いいよ、きっとワイン飲みすぎちゃったのね」
 柔らかいままの僕自身を緑は優しく手で包み込んでいる。
 「私、硬いのも好きだけどこういうふにゃふにゃの時も大好き」
 「そう?」
 「だって、たけちゃんのだから、なんてね」
 
 緑の指の動きが止まり、かすかな寝息が聞こえてきた。


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ラブ・ホテル ➂

こんな風にセックスが失敗に終わっても緑は決して武志を責めたりしなかった。いつも武志のものを握りながらたわいもない話をして寝てしまう。今回もいつものように寝てしまっていた。
 (僕ももう眠らないと……)
 昼からとはいえ明日は仕事だ。海外へ行く前に今の業務を引き継ぎをしなければならない。いや、その前に緑に話さなければ。結婚を申し込むにしてもしなくても日本から出ることは説明しなければならない。結婚を二年後にしてそれまで遠距離で頑張れるのか、いやいや緑が遠距離でもいいと思ってくれるか。

 「ダメだ、考えすぎて眠れない!」

 シャワーを浴びて頭をスッキリさせようと、バスルームに入った。大きな浴槽と同じくらい大きなマットがある特殊な風呂だ。しかしマットプレイに必要なローションはない。なんのためのマットか武志にそのような性癖がないため、ラブホテルの風呂はそういうものかと思い、特別疑問に思わなかった。

 『絶倫ホテル、予約殺到!』
 『半年待ちのレアな部屋に泊まりました』

 もともと持久力がない武志も、緑と付き合い始めてからいろいろ強くなる方法を試してきた。食べ物に気を付けたり、塗り薬や飲み薬も購入した。しかし、格段に効き目はなくあきらめていた。

 (この部屋だったら、忘れられない夜になると思ったんだけどな)

 ネットでこの部屋の噂が流れていた。この部屋に泊まってセックスすると今までにないセックスができると。
 男の力がみなぎり、何度も強く求められるという。

 しかしそれは通常の体だった場合なのかもしれない。今の武志は普段から弱い上に精神的にも悩みがある。
 指輪をわたすのはとりあえずやめよう、そして海外に行くことをちゃんと話そう。
 少し熱めのシャワーを浴び、バスローブを羽織ろうとした時、武志は強烈な寒気を感じた。
 (まさか、レアな部屋って、幽霊いる、とかじゃ……)
 しかし、寒気は一瞬だけだった。熱いシャワーを浴びたつもりだったか湯冷めしたのかもしれない。タオルで髪の毛を吹きながら緑の寝顔を見つめた。


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ラブ・ホテル 4

化粧を落とした素顔は何度も見ているが、やっぱり可愛いと思う。最近残業が続いて休めていないと言っていたが、それが理由だろうか、右頬にポツンと赤い膨らみがあるが、それも可愛く感じる。こんなに可愛い緑を二年間遠距離で日本に置いておく?ほかの男がほっとかないだろ?実際、緑から同じ病院の医師から食事に誘われたと聞いたことがある。いやいや、ほっとかないだろ。

「…う、うーん」

 寝返りをした緑のバスローブがはだけ、桜色の乳首が見えた。


 それがスイッチのように、武志の末端に血が巡り始めた。


 寝ている女性を起こすのは、私のポリシーに反するのですが、この男性、どうやら並々ならぬ決意でこの部屋に来たようです。真剣にこの部屋に来た者には私も真剣にお手伝いをする覚悟です。

 私がこの部屋にいた最初はしばらくは誰も来ませんでしたが、ある時一組の男女がやってきました。その時、私の姿が彼らには見えていないということ。この部屋では以前、男性客が事故で亡くなり、しばらく使われていなかったことを知りました。ホラー好きの彼らは肝試しのつもりでこの部屋に泊まったようです。

 しかし、やっぱりそういう部屋では男性が緊張するのか、ベッドの中ではうまくいかず(そういう状況でやる、という行動は私には理解できませんが)がっくり落ち込む彼が少し不憫に思い彼の方に手を触れたとたん、




 緑は夢を見ていた。ふわふわの雲の中で転がっているような、温かいお風呂に浸かっているような、誰かにマッサージされているような。

 気持ちいい……

 とろけるような感覚の中で、熱く硬いモノを太ももに感じて目が覚めた。
 「ごめん、起こしちゃった?」

 いつの間にかバスローブが脱がされ、武志の手が緑の腰に置かれていた。掌がいつもより熱く感じた。
 「あ、たけちゃん……どうしたの?眠れないの?」
 問いかけには答えず、武志は緑の滑らかな腰を、太ももを撫で続けた。
 「……あ、はぁん」

 いつもと違う痺れのような感覚が腰から太ももから伝わってくる。武志の一撫でで身体がびくんと反応する。
 「あん、たけちゃん……感じちゃう…」
 すると武志は緑の手を取って、自分自身に触れさせた。それは寝る前に触っていた彼のモノではないような熱さと硬さがあった。



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