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官能小説もどき

フルタイムで働きながら官能小説家としてデビューも狙っているかみやなぎです。ひとまずの目標は毎日更新です。

「初めては先生と」8

トオルは夢を見ていた。「あのこと」から何度と無く見ている夢だ。

 揺れるベッド。酔っている千恵。熱い吐息。

 夢なのに千恵の息が酒臭かったのまで再現される。

 「あの人」のことで泣く千恵。

 千恵の手が下腹部に触れる。
 
 自分の意思とは関係なく反応する。

 (ダメだ・・・千恵さん・・・)

 抵抗しようとするが、身体が動かない。

 硬くなったモノを熱く柔らかい舌が這う。

 衝動が近づいてくる。

 千恵を離さなければと思うのに、力がはいらない。

 誰かが階段を上がってくる足音がする。

 「千恵さん、ダメだ!」


 
 いつも自分の声で目が覚める・・・

 グッショリとシーツが冷たくなるほど汗をかいていた。

 (・・・ああ・・・最近見てなかったのに・・・今日、千恵さんに会ったからだな・・・)

 
 トオルのペニスははちきれんばかりに大きくなっていた。

 「はあ~、まったくお前は俺の意思を無視するよなあ・・・」

 スエットの上からでもわかる膨らみを指でつつく。

 そのとたん、千恵の汚れた顔を思い出した。

 初めて会った時と変わらない綺麗な顔に、髪に、トオルの分身が飛んでいくシーンだ。


 (ダメだ、ダメだ!)

 ブルブルと頭を振って、考えないようにする。

 (まいったな・・・また、寝られなくなるんじゃないか?)

 試験に落ちたのも、春ごろの成績不振もこの夢で睡眠不足になったからだ。今の時期に眠れなくなるのはマズイ。

そのとき、真理子先生への次の「お願い」が思い浮かんだ。
言えばおそらく躊躇されるだろう。それでも今日のクンニよりはよっぽどやりやすいはずだ。

 (・・・親父は・・・多分許してくれる・・・かな?)

 あのことがあってからは父親の和明はトオルと距離をとっている。それが親としてどうなのかはわからないが、きっと和明もどうしていいのかわからないのだろう。

 (理由を言えば、わかってくれるだろう)

 濡れた服を着替え、ベッドに入った。真理子先生には迷惑をかけていると思うが今のトオルには彼女を必要としていた。

 最初の「お願い」は冗談だった。まさか本当にキスさせてくれるとは思っていなかった。

しかし、真理子先生の震える唇に触れたとき、なぜかふっと緊張の糸が緩んだような気がした。暖かく、柔らかい感触が硬くなった心を解きほぐしてくれたようだった。

 (・・・来週まで、長いな・・・)

 普通サイズのベッドなのになぜか広く感じながら、もう1度トオルは眠るために目と閉じた。
 


  
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