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官能小説もどき

フルタイムで働きながら官能小説家としてデビューも狙っているかみやなぎです。ひとまずの目標は毎日更新です。

「三姉妹 次女佳美8」

無反応な携帯を洗面台に置き、鏡に映った顔を見た。髪は乱れ、目は落ち窪み、全体的に浮腫んでいる。

 ひどい顔・・・

 ほんの半日前は女としての喜びを身体全身で感じていたのに、その数時間後には体中の体液が出る勢いで嘔吐している。涙もいっぱい出た。

 宮田さん・・・結局私は、あなたのなんだったんだろう?


 3年前に佳美に結婚を勧めたのは宮田だった。



 独身の君とのことを妻が疑っている。このまま今までのように付き合うことはできない。

 

 そう言われても佳美には別れる決心がつかなかった。


 別れたくない。どうすれば一緒にいることができるの?

 
 
 頭がくらくらする。まだアルコールが抜けていないようだ。




 そうだなあ・・・君が結婚すれば、妻も何もないと思うかも・・・・




 ああ・・・私はなんて馬鹿なことを・・・・

 その言葉を真に受けたのか、それとも苦しい状態から逃れたかったのか・・・多分どちらもだろう。婚活を始めて辰夫と知り合った。

 この人となら一緒に過ごせるかもしれない。穏やかで優しくて、暖かかった。もう宮田との苦しい恋には戻らないとその時は本当に思ったのだ。


 別れたくないから結婚する、から、別れたいから結婚した、に変わったのだ。


 もう不倫なんかしない。そう思ったのに、度重なる宮田の誘いを断ることができなかった。1度寝ると、後は歯止めが効かなかった。

 パジャマのボタンを外し、まだ張りのある胸を見た。昨日、エレベーターの中で揉まれた乳房にはまだ宮田の痕跡が残っているかのようだった。汗や唾液、中に出された精液・・・身体のあちこちに宮田が残っている。


 落としたくない・・・会いたい・・・でももう抱かれちゃいけないんだ・・・ 


 子供ができたと知ったことで、佳美の中であれほど好きだった宮田がどんどん遠くに感じていた。

 

 ペットボトルの水を一口飲み、シャワーを浴びるためにパジャマ脱ごうとしたとき、辰夫が入ってきた。

 「・・・佳美、いいかな?」

 半分露わになった胸を慌てて隠した。

 「何?」

 夫婦なのに、何度も辰夫に抱かれたのに、今日は、宮田に抱かれた後の身体は見られたくなかった。

 「朝、携帯が鳴ってね・・・悪いと思ったんだけど、取らせてもらった。仕事や昨日のことだったら困るからね・・・」

 電話があったんだ!相手は・・・・宮田なのか?

 「・・・会社の宮田っていう男性だったよ。昨日、打ち合わせの途中で、家族が急病になったから先に帰ったんだけど、残してきたから心配で電話したって言っていた。」

 「ああ・・・そう・・・」

 なんの用事だったのだろう?とても気になったが表情に出さないように注意した。

 「佳美は酔っ払って寝ていますって言ったら、今日は休んでくれってさ・・・・ゆっくりしなよ」

 佳美は少しほっとした。こんな顔で宮田に会って、何事もなかったかのように仕事ができるか不安だったからだ。

 
 「・・・わかった・・・ごめんね。酔っ払って迷惑かけて」

 昨晩の失態を詫びたつもりだった。もうじき離婚する女の世話などしたくなかっただろうと佳美は思った。


 「いや、そんなことはいいんだ・・・」

 辰夫は佳美の肩に手を置くと、そのまま佳美の身体を抱きしめた。


 「え?あ・・・辰夫くん?」



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