どれくらい眠っただろうか。佳美はカーテンの隙間から刺す光がまぶしくて目を覚ました。寝ている間にパジャマに着替えさせてもらったようだ。シーツも綺麗なものに替えられている。髪は・・・すこし臭っていた。
実家に帰ってきたと思っていたが、違っていた。ここは佳美と辰夫の家だった。見慣れたダブルベッドだが隣に辰夫はいない。
離婚話をしただけでまだ具体的なことはなにも決まっていない。どちらが出て行くのか、引越しや、もろもろの手続き・・・
いや、そんなことよりも今の佳美には宮田の妻が妊娠していたことがショックだった。
もしかしたら連絡がきてるかも・・・・
携帯を探したが、携帯どころかバッグもなかった。部屋の時計は7時半を指している。
この状態で辰夫に会うのは嫌だったが宮田からのメールが来ているかもしれない、シャワーを浴びてすっきりしたい、なにより喉が渇いて我慢できなかったので仕方なく佳美はリビングに向かった。
キッチンから声が聞こえた。
「へえ~、じゃあ、その男の子と良い感じなんだ?」
辰夫の声だ。
「へへ、まあ、そんな感じかな?こんど海に行こうって」
真美子だ。
そっとドアを開けて覗くと、真美子が何か料理をしていた。美登里はいないようだ。
「・・・おはよう・・・」
声をかけると、真美子と辰夫が振り向いた。
「あ!よしねえ!大丈夫?」
真美子とはあのお祝いの会以来だ。あの件で遠藤と別れたと美登里から聞いた佳美は会うことや電話、メールも避けていたからだ。
「・・・うん・・・ごめん・・・私・・・」
ごめんというのは遠藤との事を謝ったつもりだったが、真美子は昨夜のことと思ったらしい。
「も~、一体どれだけ飲んだのよ。前から酒癖悪いなあと思っていたけど。しかも一人だったっていうじゃない?下手したら死んでたよ?」
「ごめん・・・覚えてなくて・・・」
本当に覚えていなかった。ホテルから出て、駅近くのバーか何かのお店に入ったまでは覚えていたが、そこから記憶が途切れている。
「も~!辰夫義兄さんが心配してよしねえに電話したらお店の人が出て、酔いつぶれてどうしようもないから来てくれって言われたの。お兄さんもその時家で飲んでいたから、私に連絡来て、みー姉ちゃんと二人で迎えにいったのに・・・」
辰夫が佳美のバッグを持って入ってきた。
「佳美、これ・・・だいたい汚れは落ちたと思うんだけど、ちょっとまだ乾いてないかも」
差し出されたバッグは濡れて形が崩れていた。
「・・・車の中でゲロ吐いたの・・・バッグの中に・・・限定モノのバッグが台無し!」
真美子はぷりぷり怒って、コンロの上にある鍋をかき混ぜだした。
「よしねえが飽きたら、そのバッグ貰おうと思っていたのに」
辰夫がバッグの中から佳美の携帯を取り出した。
「携帯は大丈夫だったよ。これ」
差し出された携帯を受け取り、ロックを解除し、画面を見た。着信もメールもなかった。胸の中にズシンと重い何かが落ちてきたようだった。
「・・・ありがとう・・・お風呂入ってくる・・・仕事行かなくちゃ・・・」
冷蔵庫から水のペットボトルを取り出し、浴室に向かおうとする佳美に真美子が声をかけてきた。
「おかゆ作ってるから食べてよ!私も店に行く時間だからもう出るけど、ちゃんとたべていきなよ!」
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実家に帰ってきたと思っていたが、違っていた。ここは佳美と辰夫の家だった。見慣れたダブルベッドだが隣に辰夫はいない。
離婚話をしただけでまだ具体的なことはなにも決まっていない。どちらが出て行くのか、引越しや、もろもろの手続き・・・
いや、そんなことよりも今の佳美には宮田の妻が妊娠していたことがショックだった。
もしかしたら連絡がきてるかも・・・・
携帯を探したが、携帯どころかバッグもなかった。部屋の時計は7時半を指している。
この状態で辰夫に会うのは嫌だったが宮田からのメールが来ているかもしれない、シャワーを浴びてすっきりしたい、なにより喉が渇いて我慢できなかったので仕方なく佳美はリビングに向かった。
キッチンから声が聞こえた。
「へえ~、じゃあ、その男の子と良い感じなんだ?」
辰夫の声だ。
「へへ、まあ、そんな感じかな?こんど海に行こうって」
真美子だ。
そっとドアを開けて覗くと、真美子が何か料理をしていた。美登里はいないようだ。
「・・・おはよう・・・」
声をかけると、真美子と辰夫が振り向いた。
「あ!よしねえ!大丈夫?」
真美子とはあのお祝いの会以来だ。あの件で遠藤と別れたと美登里から聞いた佳美は会うことや電話、メールも避けていたからだ。
「・・・うん・・・ごめん・・・私・・・」
ごめんというのは遠藤との事を謝ったつもりだったが、真美子は昨夜のことと思ったらしい。
「も~、一体どれだけ飲んだのよ。前から酒癖悪いなあと思っていたけど。しかも一人だったっていうじゃない?下手したら死んでたよ?」
「ごめん・・・覚えてなくて・・・」
本当に覚えていなかった。ホテルから出て、駅近くのバーか何かのお店に入ったまでは覚えていたが、そこから記憶が途切れている。
「も~!辰夫義兄さんが心配してよしねえに電話したらお店の人が出て、酔いつぶれてどうしようもないから来てくれって言われたの。お兄さんもその時家で飲んでいたから、私に連絡来て、みー姉ちゃんと二人で迎えにいったのに・・・」
辰夫が佳美のバッグを持って入ってきた。
「佳美、これ・・・だいたい汚れは落ちたと思うんだけど、ちょっとまだ乾いてないかも」
差し出されたバッグは濡れて形が崩れていた。
「・・・車の中でゲロ吐いたの・・・バッグの中に・・・限定モノのバッグが台無し!」
真美子はぷりぷり怒って、コンロの上にある鍋をかき混ぜだした。
「よしねえが飽きたら、そのバッグ貰おうと思っていたのに」
辰夫がバッグの中から佳美の携帯を取り出した。
「携帯は大丈夫だったよ。これ」
差し出された携帯を受け取り、ロックを解除し、画面を見た。着信もメールもなかった。胸の中にズシンと重い何かが落ちてきたようだった。
「・・・ありがとう・・・お風呂入ってくる・・・仕事行かなくちゃ・・・」
冷蔵庫から水のペットボトルを取り出し、浴室に向かおうとする佳美に真美子が声をかけてきた。
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