2ntブログ

官能小説もどき

フルタイムで働きながら官能小説家としてデビューも狙っているかみやなぎです。ひとまずの目標は毎日更新です。

「ボトル」⑥

次の日、店長田辺くんは約束の時間に15分遅れてきた。

「ごめん!秋山さん。仕事あがる直前にまたクレームきちゃって、」
店長田辺くんは本当に5分前に仕事終わりました!っていう服装だった。

黒のスニーカーに膝が少し色褪せた黒のパンツ、グレーのパーカー。

わたしは一応、それなりに気合いをいれて服や靴を選んだのだが。
店長田辺くんが下心なしに昨日のお詫びの食事なんだなあと思うと残念だったり、ホッとしたり。

「お仕事、大変なんだ。お客さんのお家に直接謝りにいったりするの?」
店長田辺くんはちょっと笑って
「ん…まあ結構あるかな。土下座は今のところないけどね。昨日、秋山さんの件はマジ土下座。下手したらチラシに謝罪文入れないといけないパターンだな」
どうやら万引きの誤認はこじれると店長どころか部長さんクラスまでが飛ばされるかもしれない事件らしい。
「だから間違え捕まえちゃったのが、秋山さんで俺、ちょっと助かった~って思ってんだ。あっ、もちろん秋山さんには申し訳ないことしたと思ってるし、謝ってすむことじゃないよ…本当に…」

また、土下座されそうな勢いだったのでわたしは人差し指を田辺くんの唇に当ててやった。

「それについてはもういいよ。で、今日は何ごちそうしてくれるの?」
田辺くんはびっくりしたようだったけど、それからはにかんだように笑った。その笑顔はわたしの下腹部を昨日以上にキュンとさせた。

 連れていかれたお店は駅前の居酒屋だった。田辺くんはこの街に越してきたばかりでお洒落なお店を知らなくてって、申し訳なさそうにいっていたけど。

 とりあえず2人の再開を祝して、また田辺くんの謝罪で乾杯をした。揚げ出し豆腐や枝豆をつまみながらわたし達はいろんな話しをした。仕事の話や2年前の同窓会のこと。田辺君は卒業後地方の大学にいって高校の友達とは実家に帰った時ぐらいしか会えないらしい。だからわたしにあえてとても嬉しいといった。

 お酒がすすんでくると恋人の話になった。2人とも特定の恋人はいなかった。田辺くんはこっちに転勤になったときに別れてしまったようだ。わたしは、半年前にお互い合わなくなってと言っておいた。

 楽しいお酒だった。こんなに長く飲みながら男性と話したのは久しぶりだ。田辺君は店長として慣れない仕事を愚痴りながらも、仕事は楽しいと言っていた。話しながら笑顔を見せてくれる田辺君を眺めながら、昨日、変な想像をして逝ってしまったわたし自身をすこし恥ずかしく思ったり、こんな時間を過ごせる相手がずっと傍にいてくれたら、と昨日の想像より非現実的なことを思ったりしていた。

 昨日会ったばかりで、何考えてるんだろ、わたし。


 と、途中まではかなり楽しく飲んでいたのに、田辺くんが酔いつぶれてしまった!
わたしは飲み仲間からザルのあだなをつけられている程酒に強い。たぶんわたしのペースにつられちゃったんだろうな…でも、田辺君、ビール、ジョッキ5杯ぐらいしか飲んでないんじゃないのか?弱すぎでしょ?

「田辺くん、大丈夫?もう、帰ろう?」
テーブルに突っ伏して寝そうになってる田辺くんに声をかけた。

「…う…ん。らいじょうぶれ~す…よ」
…ダメだ。全然大丈夫じゃない。

 寝ようとする田辺くんを無理やり起こし、わたしが支払いを済まし(怒)、店の前に停まっていたタクシーに押し込んだ。

「お客さん、どこまで?」

運転手さんがなんだか迷惑そうに尋ねる。

「あっちょっと待って下さいね。田辺くん、家どこ?ね、家。」


「…(爆睡中)」

運転手さんの視線がわたしにささる。

「あの…このまま彼だけ乗せたら、まずいですよね…?」


結局、田辺くんを連れてわたしの部屋まで帰ることになった。





小説(官能小説) ブログランキングへ

官能小説ランキングに参加しています。よろしくお願いします。

PageTop

「ボトル」⑦

「珍しいね~大概は女の子がべロンべロンで男が送るからねー。おねーちゃんは逆お持ち帰りだな。がはは」

 タクシーの運転手さんが楽しそうに笑う。いままでいっぱい泥酔の女の子とお持ち帰り男を乗せたんだろうなあ。しかし私はほぼ素面。横には真っ赤な顔をして寝息を立てている田辺君・・・

「お持ち帰りでもこんなに酔っ払っていたら役に立ちそうもないですけど」

わたしは酒に強いのでお持ち帰りされたことないけと、酔っ払った女の子をお持ち帰りする男は面倒くさいことをするのだなあと思った。そこまでしてエッチしたいのか。

「がはは!そりゃそうだ、役立たずだな!」

タクシーの運転手さんがかなり大きな声で笑っていたのに、田辺くんはやっぱり寝ていた。


タクシーを降りてから部屋に行くまでがまた大変だった。運転手さんには「頑張れよう!」と声援をうけたが、全く頑張りようがない。わたしが男で田辺くんが女の子ならこの後の行為に期待することもできるけど。

 なんとか部屋に上げ、ベッドに寝かした。

 はあ~何やってんだか、わたし。
 
 どっと疲れが押し寄せてきた。田辺くん爆睡中。寝息が聞こえる。

 仕事お疲れなのかな?

 独りで新しい土地で大変だろうな。

男の人の寝顔をみたのは久しぶりだ。あまりにも無防備な寝顔にキスしたい衝動があったけど、抑えてガマンした。そんなことしたらお持ち帰り男と一緒になってしまう。でも昨日の妄想が思い出され勝手に下腹部がうずきだす。いや、こんなに酔っていたら立つ物も立たないだろうなと妙に冷静になってみたり。

「う…うん…」田辺くんがうごいた。

「田辺くん?起きた?大丈夫?」

肩を持って揺り起こそうとしたとき、いきなり田辺くんはわたしの腰に両腕をまわし、体をだきしめた。

「あっ!」
ギシッ、

ベッドが軋む。下腹部と胸がキュンとしてジュンってなる。

「…ん、秋山…さん、いい…に…おい~」

…寝ぼけている。さっきのときめきを返せと思いながら体を離そうしたが、うん?意外に力強い。体が動かなかった。

「田辺くん、酔っ払ってるよ。あんまりぎゅっとすると苦しい…」

 わたしの胸は田辺くんの顔あたりにきている。やばい。ドキドキする。
酔っているからか、田辺君の吐息が熱い。一気に血液が胸の先に集まるのがわかる。

 「田辺君、あ・・・酔ってるよ。ね、離して・・・」

 「秋山さん、ちょっと…重い…かも」

はあ~!?なんていうことを!

「でも~こうすればあ、重くな~あい」
そう言うと田辺くんはわたしの腰を引き寄せベッドの上で半回転した。わたしが下で田辺くんが上。「ぁあん」予想外に大きな声がでて自分でもびっくりした。

「そんな大きな声を出すお口はふさがなくっちゃ」

 田辺くんの顔が迫ってくる。

 チュッ



 えっ?


 田辺くんは小鳥のようなキスをした。はじめは唇に、そして頬、おでこ。何か暖かいキス。ほんの少しだけしか触れていないのに体中の力が抜けてくる。

でも唇が耳に触れたとき、わたしのなかで一気に熱いものが溢れてきた。





小説(官能小説) ブログランキングへ

官能小説ランキングに参加しています。よろしくお願いします。

PageTop

「ボトル」⑧

「…んはぁっ、ぁあ…」

唇からは吐息が洩れだし、わたしのアソコは中のヌルヌルを溢れさせないようキュンと締まる。
身体の温度が一気に上がるのがわかる。え?何?私の身体じゃないみたい・・・

耳から首筋に唇がおりてきた。
もうダメ…あまりにも感じすぎて目眩がする。唇が触れているだけでいってしまいそう…いや、唇だけじゃない。田辺くんの熱い息がかかるたびにわたしの口から声にならない吐息が漏れる。

「…秋山さん…スッゴい色っぽい…俺、もう止まらないかも…」

田辺くんのキスは首筋から鎖骨に降りてきて、田辺くんの左手はわたしのキャミソールとブラジャーをたくしあげ胸を露わにした。胸は激しくなっていく呼吸のたびに動き、触られていないのに乳首はすでに硬くなっていた。

田辺くんは乳首に唇を触れさせ、もう一方の胸をゆっくりと揉みだした。


「ぁあ!…ダメ…」
反射的に両手で田辺くんの体を離そうとした。でも手首を掴まれ動けなくされてしまった。田辺くんは乳首を執拗に責めている。優しいキスの後は舌先で転がすように舐めたり、唇て挟んで引っ張ったり。
そのたびに体中がビクビクし、下着が濡れていくのがわかった。

「秋山さん、感じやすいからかな? 俺もすげえ感じる。」

さっきまで酔って寝ていたのに。 わたしのほうが酔っ払っているみたい…

田辺くんの顔が近づいてくる。唇が重なる。今度はちがうキス。舌と舌が絡み合って二人の唾液が混ざり合う。
キスの間にスカートと下着が脱がされていた。

指がわたしの敏感なところに触れる。

「はあん!…駄目!」

ちょっと触られてただけなのに電流が流れたようになった。

「…駄目っていわれても…ここ、スッゴいことになってる…」

割れ目に沿って指が降りていく。わたしのアソコは決壊寸前のダムのようになっていた。田辺くんの指が滑り込む。

「はあっぁああん!」

中から奥から溜まっていたヌルヌルした液体が溢れてくるのがわかる。

ぐしゅ。びちゃ。くちゅ。

中をぐるぐるかき回されるごとに子宮の奥から波が近づいてくる。

声が出そうなのに唇は塞がれたまま。

「んんっ…


涙が溢れてきた。自分でやっていた時とは違う快感が爆発しそう…


「…いれていい?」
涙に気づいた田辺くんが目尻にキスをしながら言った。
力なく頷くと田辺くんは部屋の電気を消し、服を脱いだ。

カーテンから街灯の明かりが差し込むベッドの上で二人、裸になった。

「俺のを触って…」

田辺くんはわたしの手を自分のモノに導いた。
硬く、熱い。『夜のお供』とは比べものにならないくらい太くて長い。
先からは透明な液体が溢れている。

どこに用意していたのか田辺くんは手早くゴムをつけた。

わたしのアソコはシーツが冷たくなるほど溢れていたので田辺くんのモノはズルッとはいった。

「はあぁぁん!…駄目…」

奥までいれると田辺くんは動かなかった。わたしのアソコだけが収縮と弛緩を繰り返している。

「…ごめん。動いたらすぐいっちゃいそうだから、ちょっとこのままでいてね…」

耳元でこう囁かれるともう駄目だった。わたしの腰は下から突き上げるように動き始めた。腰の振りより速く快感が駆け上がってくる。

「ああっ、駄目だって秋山さん!ああ、もう!」

田辺くんと動きがあって、奥の奥まで突かれたとき、わたしの中が激しく収縮した。

思わず声が出そうになった時、上から田辺くんの唇と舌がわたしの口にかぶさった。

わたしと田辺くんのモノが痙攣しているのがわかった。もういっぱいいっぱいになっていた。

独りで自分を慰めでいた時にあった空虚感はなかった。かわりに何か暖かいものが充たされたよう。それはキスだったり、息づかいだったり、熱い田辺くんのモノのせいなのか?

終わった後も寄り添っていた。このまま朝がこなければいいのに。


二人の息が整ってしばらくすると

「…俺、秋山さんに謝らないと・・・。」

えっ?やっちゃったことで?


そのことで謝られるとなんだか急に悲しくなってきた。



「…あの、店で秋山さんのこと、捕まえたじゃん?…あれ、俺が林さんに頼んだんだ」





小説(官能小説) ブログランキングへ

官能小説ランキングに参加しています。よろしくお願いします。

PageTop

「ボトル」⑨

「…ええっ!?」

「あの時、林先生から俺の携帯に電話あって、挙動不審な女の子がいてて、商品を盗ってるようだって。店もよっぽどのことがないと万引きは捕まえないんだけど、話聞いたらどうも秋山さんっぽい。だから、捕まえて俺が帰るまで事務所にいれといてって頼んだんだ」

ええ~、どうしてそんなことを。

「だって、チャンスだと思ったから」

「チャンスって、何のチャンス?」
田辺くんの言っていることが解らず聞き返した。

「…だからぁ、秋山さんと親しくなるチャンスだって」


えっ?


「前の同窓会の時にこっちに住んでるって聞いて、ずっと気になったんだ。でもちょっと遠いなあ、彼氏いてるよなあ絶対、とか思っていたら秋山さんの近くに店できるって聞いたから、店長になります!そこいきます!って希望したんだ。」

「え?でも、転勤するまで彼女いてたんでしょ?」

そう、たしかほんの数時間前に田辺君はそう言っていたはず・・・

「あ、前の彼女は就職する時に別れたんだ。同窓会の少し前かな。それ以来誰とも縁がなくってね。同窓会で秋山さん見ちゃったし。秋山さん、彼氏と別れたの最近だって言っていたから、俺も最近別れたってことにしといたほうがいいかなと思って・・・」

なんと…これは全て田辺くんの計画だったのか…

んんっ?じゃ酔って爆睡していたのは演技だったのか?

「酔っ払って寝てしまったのは計算外だったな~。まさか秋山さんがあんなに酒強いとは思わなかった」


「でも、今酔ってるようには見えないけど?」

わたしの頭を撫でながら田辺くんは言う。
「俺、酔いつぶれても20分ほど寝たら大丈夫。目、覚めたら秋山さんの部屋だったから驚いた~。彼氏いないって言ってからコレってチャンス?って思ったから焦ってしまった。…ごめん。…怒ってない?」


地見目でちょっと草食系な田辺くんがここまで行動力があることに驚いた。
そんなに行動的なのに、あの優しいキスもできるんだ、と心も身体も鷲摑みにされたみたいに
感じていた。


「で、こんな事したあとで言うのもナンだけど」

田辺くんは天井に向けていた顔をわたしに向けて、

「俺と付き合って・・・くれない?」


二人裸でベッドの上での告白。わたしは、田辺くんの胸に顔をくっつけて

「…はい、こちらこそお願いします」

って言っていた。


「はぁぁ~。あー、良かったー」

ギュッと抱きしめられた。わたしは今まで足りていなったものがなんとなくわかったような気がした。



「秋山さん、明日二人ででかけようか?今度こそ俺がおごるから」


わたしはふふって笑うとやっぱり明日は来て欲しいなって思った。



これからしばらくは『夜のお供』は必要ないな。アソコに納まるべきモノは空っぽのボトルじゃない。熱くて、硬くて、中身のあるもの。

一人ではとうてい満たされないものを、二人なら満たすことができそうな気がした。



                                    -完ー



小説(官能小説) ブログランキングへ

官能小説ランキングに参加しています。よろしくお願いします。

PageTop