次の日、店長田辺くんは約束の時間に15分遅れてきた。
「ごめん!秋山さん。仕事あがる直前にまたクレームきちゃって、」
店長田辺くんは本当に5分前に仕事終わりました!っていう服装だった。
黒のスニーカーに膝が少し色褪せた黒のパンツ、グレーのパーカー。
わたしは一応、それなりに気合いをいれて服や靴を選んだのだが。
店長田辺くんが下心なしに昨日のお詫びの食事なんだなあと思うと残念だったり、ホッとしたり。
「お仕事、大変なんだ。お客さんのお家に直接謝りにいったりするの?」
店長田辺くんはちょっと笑って
「ん…まあ結構あるかな。土下座は今のところないけどね。昨日、秋山さんの件はマジ土下座。下手したらチラシに謝罪文入れないといけないパターンだな」
どうやら万引きの誤認はこじれると店長どころか部長さんクラスまでが飛ばされるかもしれない事件らしい。
「だから間違え捕まえちゃったのが、秋山さんで俺、ちょっと助かった~って思ってんだ。あっ、もちろん秋山さんには申し訳ないことしたと思ってるし、謝ってすむことじゃないよ…本当に…」
また、土下座されそうな勢いだったのでわたしは人差し指を田辺くんの唇に当ててやった。
「それについてはもういいよ。で、今日は何ごちそうしてくれるの?」
田辺くんはびっくりしたようだったけど、それからはにかんだように笑った。その笑顔はわたしの下腹部を昨日以上にキュンとさせた。
連れていかれたお店は駅前の居酒屋だった。田辺くんはこの街に越してきたばかりでお洒落なお店を知らなくてって、申し訳なさそうにいっていたけど。
とりあえず2人の再開を祝して、また田辺くんの謝罪で乾杯をした。揚げ出し豆腐や枝豆をつまみながらわたし達はいろんな話しをした。仕事の話や2年前の同窓会のこと。田辺君は卒業後地方の大学にいって高校の友達とは実家に帰った時ぐらいしか会えないらしい。だからわたしにあえてとても嬉しいといった。
お酒がすすんでくると恋人の話になった。2人とも特定の恋人はいなかった。田辺くんはこっちに転勤になったときに別れてしまったようだ。わたしは、半年前にお互い合わなくなってと言っておいた。
楽しいお酒だった。こんなに長く飲みながら男性と話したのは久しぶりだ。田辺君は店長として慣れない仕事を愚痴りながらも、仕事は楽しいと言っていた。話しながら笑顔を見せてくれる田辺君を眺めながら、昨日、変な想像をして逝ってしまったわたし自身をすこし恥ずかしく思ったり、こんな時間を過ごせる相手がずっと傍にいてくれたら、と昨日の想像より非現実的なことを思ったりしていた。
昨日会ったばかりで、何考えてるんだろ、わたし。
と、途中まではかなり楽しく飲んでいたのに、田辺くんが酔いつぶれてしまった!
わたしは飲み仲間からザルのあだなをつけられている程酒に強い。たぶんわたしのペースにつられちゃったんだろうな…でも、田辺君、ビール、ジョッキ5杯ぐらいしか飲んでないんじゃないのか?弱すぎでしょ?
「田辺くん、大丈夫?もう、帰ろう?」
テーブルに突っ伏して寝そうになってる田辺くんに声をかけた。
「…う…ん。らいじょうぶれ~す…よ」
…ダメだ。全然大丈夫じゃない。
寝ようとする田辺くんを無理やり起こし、わたしが支払いを済まし(怒)、店の前に停まっていたタクシーに押し込んだ。
「お客さん、どこまで?」
運転手さんがなんだか迷惑そうに尋ねる。
「あっちょっと待って下さいね。田辺くん、家どこ?ね、家。」
「…(爆睡中)」
運転手さんの視線がわたしにささる。
「あの…このまま彼だけ乗せたら、まずいですよね…?」
結局、田辺くんを連れてわたしの部屋まで帰ることになった。
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「ごめん!秋山さん。仕事あがる直前にまたクレームきちゃって、」
店長田辺くんは本当に5分前に仕事終わりました!っていう服装だった。
黒のスニーカーに膝が少し色褪せた黒のパンツ、グレーのパーカー。
わたしは一応、それなりに気合いをいれて服や靴を選んだのだが。
店長田辺くんが下心なしに昨日のお詫びの食事なんだなあと思うと残念だったり、ホッとしたり。
「お仕事、大変なんだ。お客さんのお家に直接謝りにいったりするの?」
店長田辺くんはちょっと笑って
「ん…まあ結構あるかな。土下座は今のところないけどね。昨日、秋山さんの件はマジ土下座。下手したらチラシに謝罪文入れないといけないパターンだな」
どうやら万引きの誤認はこじれると店長どころか部長さんクラスまでが飛ばされるかもしれない事件らしい。
「だから間違え捕まえちゃったのが、秋山さんで俺、ちょっと助かった~って思ってんだ。あっ、もちろん秋山さんには申し訳ないことしたと思ってるし、謝ってすむことじゃないよ…本当に…」
また、土下座されそうな勢いだったのでわたしは人差し指を田辺くんの唇に当ててやった。
「それについてはもういいよ。で、今日は何ごちそうしてくれるの?」
田辺くんはびっくりしたようだったけど、それからはにかんだように笑った。その笑顔はわたしの下腹部を昨日以上にキュンとさせた。
連れていかれたお店は駅前の居酒屋だった。田辺くんはこの街に越してきたばかりでお洒落なお店を知らなくてって、申し訳なさそうにいっていたけど。
とりあえず2人の再開を祝して、また田辺くんの謝罪で乾杯をした。揚げ出し豆腐や枝豆をつまみながらわたし達はいろんな話しをした。仕事の話や2年前の同窓会のこと。田辺君は卒業後地方の大学にいって高校の友達とは実家に帰った時ぐらいしか会えないらしい。だからわたしにあえてとても嬉しいといった。
お酒がすすんでくると恋人の話になった。2人とも特定の恋人はいなかった。田辺くんはこっちに転勤になったときに別れてしまったようだ。わたしは、半年前にお互い合わなくなってと言っておいた。
楽しいお酒だった。こんなに長く飲みながら男性と話したのは久しぶりだ。田辺君は店長として慣れない仕事を愚痴りながらも、仕事は楽しいと言っていた。話しながら笑顔を見せてくれる田辺君を眺めながら、昨日、変な想像をして逝ってしまったわたし自身をすこし恥ずかしく思ったり、こんな時間を過ごせる相手がずっと傍にいてくれたら、と昨日の想像より非現実的なことを思ったりしていた。
昨日会ったばかりで、何考えてるんだろ、わたし。
と、途中まではかなり楽しく飲んでいたのに、田辺くんが酔いつぶれてしまった!
わたしは飲み仲間からザルのあだなをつけられている程酒に強い。たぶんわたしのペースにつられちゃったんだろうな…でも、田辺君、ビール、ジョッキ5杯ぐらいしか飲んでないんじゃないのか?弱すぎでしょ?
「田辺くん、大丈夫?もう、帰ろう?」
テーブルに突っ伏して寝そうになってる田辺くんに声をかけた。
「…う…ん。らいじょうぶれ~す…よ」
…ダメだ。全然大丈夫じゃない。
寝ようとする田辺くんを無理やり起こし、わたしが支払いを済まし(怒)、店の前に停まっていたタクシーに押し込んだ。
「お客さん、どこまで?」
運転手さんがなんだか迷惑そうに尋ねる。
「あっちょっと待って下さいね。田辺くん、家どこ?ね、家。」
「…(爆睡中)」
運転手さんの視線がわたしにささる。
「あの…このまま彼だけ乗せたら、まずいですよね…?」
結局、田辺くんを連れてわたしの部屋まで帰ることになった。
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