「達也?」
10年ぶりの再会でした。服装や髪型は会社員のものでしたが、顔立ちや体つきはあの高校生の時と同じでした。
「雛~!久しぶり。なんでここにいるの?」
達也は首をすこし傾けるようなしぐさをしました。その姿をみて私は一気に彼とのことを思い出してしまいました。
「・・・あ、私、ここに住んでるの。達也は、どうしてここに?」
どうみても今から出勤するサラリーマンの姿です。
「俺もここに住んでんの、1週間前から。奇遇だね~。あ、もしかして皆川雛子って雛のことだったのか?」
もちろん彼は私が結婚したことなど知らないでしょう。高校2年生の時から2年と少し付き合って、別れてからは連絡をとっていなかったからです。
「結婚して皆川になったの。達也くん、もしかして前田さんの・・・」
チン。
乾いた音がして1階にエレベーターが着きました。
「あ、ごめん。今日は急いでいるから。また、ゆっくり話そうぜ。お隣さんだしな」
そういうと彼はにやっと笑い、早足で駅に向かって歩いていきました。エレベーターホールに一人残された私は、ゴミ袋を片手に持ったまま頭は高校時代の記憶を思い出していました。付き合っていた期間は2年足らずでしたが、その間に私は彼に「女」にされていました。それが今感じている「渇望感」に繋がっているのです。
部屋に戻った私はソファに横になり、達也とのことを考えていました。知り合ったのは友人の紹介でした。女子高でもクラスに何人かは他の学校の男子の知り合いがいるもので、数人が集まってみんなで出かけたのが最初だったと思います。その中にいた達也が私に連絡をとってきて付き合いが始まったという高校生らしい出会いでした。
デートを重ね、キスをし、セックスをするまでに時間はかかりませんでした。達也は初めてではありませんでしたが、私は全てが達也が初めての人でした。
初めてのデート、初めてのキス、初めてのセックス。そして最初の絶頂・・・
あの時のことはまだ身体が覚えています。上に乗っている達也が私の中を一突きするごとに今までとはちがう感覚が身体の中から湧き上がってきました。寒い冬だったのにお互いの身体は火照っていて汗をかいていたのを思い出します。熱いものが出てきそうで思わず
「あ!だめ!おかしくなる!」
と叫んでいました。
それでも達也の動きは止まりません。私は恐ろしくなってきました。
「だめ!怖い!止めて!」
達也は私の上に覆いかぶさって、耳元で囁きました。
「・・・大丈夫。雛・・・ちゃんと抱きしめてるから、大丈夫だよ・・・」
その言葉を聞いたとたん、私の中が弾けました。繋がっているところから身体全体に感じたことのない衝動が駆け巡りました。
「ああ!達也!達也・・・」
彼の名前を呼びながら私は初めて「逝く」ということを経験したのです。
「・・・雛・・・雛・・・ああ・・・俺も・・・」
達也の身体がこわばり、中で出されていくのを感じながら、私は身体も心も彼と一つになれたような気がしました。
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