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官能小説もどき

フルタイムで働きながら官能小説家としてデビューも狙っているかみやなぎです。ひとまずの目標は毎日更新です。

やりたい盛り 7

「あれ? もう、終わりですか?」

「二次会の店予約してるからな。パートさんたちはそろそろ帰らないといけない時間だし。岡本、お前も来るか?」

「俺はもう帰ります。明日早いし、相田さん送るって約束しちゃったんで」

 チーフはにたあと笑った。

「いいなあ~。何かあったら明日教えろよ~」

「何かって、何もないっすよ~」

 立ち上がって相田を探す。まだトイレから戻ってないようだ。

 まあ、外で待っていれば出てくるか。

 チーフや店長、他の社員は二次会に行ってしまい、陽一は店の外で相田を待っていた。

「ごめ~ん、もう終わっちゃったんだね。みんなは?」

 靴を履きながら、相田が出てきた。

「二次会に行きましたよ。まだ飲むみたいです。車こっちなんで」

 相田の足取りがおぼつかない。

「相田さん、あぶないっすよ。大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫よ~、でもちょっと飲みすぎたかしら」

 陽一の腕に相田の腕が絡みついてきた。柔らかい胸の膨らみの中央に少し硬い突起を感じる。

 え? ノーブラ?

 歩くたびにたぷたぷと揺れる胸には支える布も紐も感じられなかった。飲んでいる時に胸元から見えたピンクのレースは今は見えない。

「あ、あの、相田さん……」

 ノーブラですよね?

 なんて聞ける訳がない。そうだ、さっきのトイレで外したんだ。酔って気持が悪かったから。きっとそうだ。俺を誘っているんじゃない。

 巡りだす血液の動きを感じながら、陽一は必死になって意識を別なところに持っていこうとしていた。

「あ~、飲んだの久しぶりだから、ちょっと酔ったかも……」

 崩れるように助手席に乗り込んだ相田はだるそうにシートベルトを締めた。

「大丈夫ですか? 醒めるの待ちますか?」

 車の中で吐かれたらたまらない。すぐに車を走らせないで少し休めばどうかと思ったので言ったのだが、相田は別の意味に取ったようだ。

「やだ~、岡本くん、誘ってるの~?こんなおばちゃんを?」

 けらけら笑いながら、陽一の太ももを触ってくる。相田の白い手が妙に艶かしく感じ、身体が硬直した。

「いや、え? あ、俺はただ……」

 太ももに置かれたままの手のひらが気になり、何を答えていいのかわからなくなる。

「そうよね~。岡本くん、若い彼女いるんだからこんなおばちゃん誘っちゃ駄目よ」

 手が離れ、相田は軽いため息をついた。手が置かれていた部分がひりひりと痺れていた。

 陽一はゆっくりと車を動かし、大通りへ走らせた。

「今日は旦那さん遅いんですか?」

 時間は夜の十時過ぎだった。残業ならずいぶん仕事してるんだなと思った。

「ううん、いないの。出張が多くてね。もう少し一緒にいたいんだけど仕事だからしかたないって我慢してるの」

 出張かあ。それなら夜も一人で寂しいだろうな、と漠然と思った。結婚してもいつも一緒って訳ではないんだな。

「岡本くんは彼女に不満とかないの?」




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