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官能小説もどき

フルタイムで働きながら官能小説家としてデビューも狙っているかみやなぎです。ひとまずの目標は毎日更新です。

やりたい盛り 6

「お付き合い、長いの?」

 ほろ酔いの潤んだ目で相田が聞いてきた。ほんのり色づいた頬と濡れた唇がまた、陽一に股間を意識させた。

「そう、ですね。三年だから、長いっすかね?」

「三年!」

 相田とチーフと店長が同時に叫んだ。

「長いね~。もう彼女、結婚意識してるんじゃない?」

 店長が食いついてきた。聞いた話では、まだ独身で彼女はいないらしい。

「早く結婚したほうがいいよ! 岡本君! スーパーの男って女性からは敬遠されるから! もう、これは勢いで!」 

「え? そうっすか? でも、まだ働き始めたばかりだし」

「そうよ、二十二? 二十三歳でしょ? まだまだ経験しなくっちゃ」

 相田がまたくっついてくる。

 経験といえば、陽一にとって祐美は二人目の女だ。少ない気もするが、結婚するなら祐美が一番だと思う。控えめだけどしっかりしていて。欲を言えば、ベッドの上でもっと積極的だといいんだが、それは自分が我慢すればいいことだと考えている。

「店長は振られたからなあ。実体験からくるアドバイスだよ」

 チーフがうんうんと頷く。それからしばらく陽一の彼女や店長の彼女いない暦や、スーパー従業員の晩婚化の話で盛り上がっていたところ、離れた席にいた遠藤が傍にやってきた。

「あ、遠藤さん、どこにいたんすか?」

 大きなスーパーなので従業員も多い。遠藤は離れた席で他の部門のパートさんと飲んでいたらしい。

「もういい時間だから先帰ろうと思って。チーフも岡本君も飲みすぎちゃだめよ」

心配そうに言う遠藤はもう惣菜部のお母さんのようだ。

「遠藤さん、良かったら俺、送っていきますよ。飲んでないんで」

 遠藤はちらっと隣の相田を見てから、丁寧に断った。

「ありがとう。さっき旦那に迎えに来てって連絡したから大丈夫よ。じゃあ、また明日ね」

 大きなお尻を揺らしながら帰っていく遠藤を見ていると、相田がため息をついた。

「いいわね~、ご夫婦仲良さそうで。羨ましいわ」

 残っていたビールを一気に飲み干すと、またため息をついた。ちょっと伏せられた睫の奥が潤んでいるように見えて、陽一はドキッとした。

「え? 相田さんも仲いいんでしょう?」

「仲はいいけど……」

 拗ねたように唇と尖らせる。

「あまり、家にいないし。寂しいの……」

 かなり酔ってきたのか、陽一の肩に頬をのせてきた。耳元で相田が囁く。

「岡本くんが、慰めてくれる?」

 驚いて相田の顔を見つめると、相田は「ふふっ」と笑って

「ちょっと、トイレ~」

と言って行ってしまった。

 え? ええ? 誘っているのか? いや、酔っているし、きっとからかわれたんだな……

「おい、岡本。お前こんな職場で彼女と会う時間あるのか?」

 かなりできあがってきたチーフが聞いてきた。

 スーパーの休みは暦通りではない。主に平日休みになってしまう。それでも、祐美は寂しいとも休みに対して不満も言わず、陽一の会える日に合わせるようにしてくれる。

「今のところ何とか」

「岡本君、やっぱり早く籍いれないと、そのうち彼女浮気するよ。休み合わないのって結構別れの理由になるんだから」

 チーフと同じくらいにできあがってきた店長がまた言っている。

 そうだ、俺には祐美がいるんだし。結婚か、考えてもいいのかな。

 がやがやと周りが騒がしくなって、みんな席を立ち始めた。





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