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官能小説もどき

フルタイムで働きながら官能小説家としてデビューも狙っているかみやなぎです。ひとまずの目標は毎日更新です。

やりたい盛り 4

「俺、ちゃんと個数と種類確認しましたよ」

 さっき持って行ったのは「季節の弁当」二十個だ。

「この残りの注文書と確認してみろ!」

 あと二組弁当の注文が残っている。注文書には「季節の弁当十個」と「スペシャル弁当五個+季節の弁当五個」となっている。残っている弁当の数も二十個だ。

「二十個残っていて、間違いないっすよね?」

 恐る恐るチーフに確認する。

「おまえ~、ちゃんと見ろ!」

 何を怒っているのか、訳がわからす弁当を確認する。だから、季節のヤツが十五個で、スペシャルが……あれ?

「あ~!」

「やっとわかったか!この馬鹿!」

 残っていなければならないスペシャルがなかった。さっきの二十個の中に混じっていたようだ。
 そういえば一番上の弁当だけ確認して、下にあるのは見ていなかった。

「あ……、ど、どうすれば……」

 ち、っとチーフは舌打ちした。

「売り場からスペシャル五個持ってこい。無かったら今から作れ。遠藤さん、在庫あるかな?」

「ありますよ~」

「よし、俺は今からこの季節の弁当もって行って謝ってくるから。岡本! 遠藤さん手伝えよ!」

 どたばたとチーフが出て行き、陽一は売り場を見に行ったが不幸にも目当ての弁当は残っていなかった。

「あああ、俺、やっちまいましたか?」

 遠藤はいつもと同じようなリズムでてきぱきと揚げ物を揚げていた。

「まあ~、やっちゃったかな? ほれ、落ち込んでないで白米、詰めていって。大丈夫。あと、十分もあれば作れるから」

 陽一は泣きそうになるのを堪えながら遠藤の指示に従った。

 結局、スペシャル弁当はお客が取りに来るまでにきちんと出来上がり、チーフが取替えにいったお客にもクレームを言われることなく事は収まった。だが、自分のミスでチーフやパートの遠藤に迷惑をかけてしまったことが陽一を落ち込ませていた。

「はあ……」

 新入社員歓迎会に来ているが、気分は全然楽しくない。こういう日は早く家に帰って祐美に愚痴のメールでも送って寝てしまうのが一番なのだが、歓迎される立場では「お先に」とはいかない。

 おまけに同じテーブルには店長とチーフがいる。それになぜか陽一の両隣は誰も座ってこない。疎外感を感じた。

 あ~、早く終わらないかなあ、車だから酒飲めねえし、絶対楽しくないよな……

 その時、陽一の右の席に誰かが座った。ふわっといい香りがしたので、見てみると、昼間にあったサービスカウンターの相田だった。


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