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官能小説もどき

フルタイムで働きながら官能小説家としてデビューも狙っているかみやなぎです。ひとまずの目標は毎日更新です。

「三姉妹 三女 真美子5」

 佳美があんなに感情的になるのは珍しい。虫の居所が悪かったのか。

 でも、あのバッグを持った女性は絶対に佳美だった。

 (あ~、辰夫義兄さんとホテルに行くところ見られて恥ずかしかったのかな?だから仕事なんて言って必死になって否定してたのか・・・案外可愛いかも・・・)

 携帯で姉の美登里に電話をした。昨日の朝に着信があったからだ。

(はい、吉岡です)

 「あ、みー姉ちゃん?私、真美子。昨日電話あったみたいだけど何?」

 美登里は佳美と違って、真美子の行動にいちいち口出ししない。この家に一人で残ることになった時も心配する佳美と違い、もう20歳だし、一人暮らしもいいんじゃない?と佳美を説得してくれたのだ。

 (あ、まみちゃん?ちょっと和也を見てもらおうと思って電話したんだけど、もう大丈夫よ。どこか出かけていたの?)

 「あ・・・うん。遠藤君と・・・え、和也くん、どうかしたの?」

 他人の子供は苦手だが、甥や姪は別だった。最近会っていない。

 (和也に続いて、由香も熱出ちゃって。病院に連れて行く間、和也とお留守番して欲しかったの。でも、辰夫さんが来てくれて助かったわ)

 辰夫義兄さん?じゃあ、土曜の朝に佳美姉さんの隣にいてたのは・・・

 辰夫ではないとしたら誰なんだろう。会社の人?だったら会社にいていたなんて嘘を言う必要なんかない。営業で外にでることもあるだろう。

 
 (まみちゃん?聞いてる?)

 「あ、ごめん、聞いてるよ」

 (5月の就職のお祝い、良かったら遠藤君にも来てもらえば?お付き合い長いんでしょう?私にも紹介してよ)

 祝日なら遠藤は仕事は休みだ。先に言っておけば来てくれるかも・・・

 「そうね・・・聞いてみる。ありがとう、みー姉ちゃん」

 電話を終えた後、5月に遠藤と会えるかも知れないという喜びで一杯だった。ただ、心の隅っこのほうに佳美についての影が差していた。



 4月は入社式から始まり、新人研修では経営者の話をきいてレポートを書いたり、サービス業ということもあり接客訓練などが1週間、実際に店舗での研修が2週間あり、その後配属先の店舗が決まる。ちょうどゴールデンウィークの前だ。

 「はあ~・・・」

 立ちっぱなしで、慣れない接客。思わず休憩室で大きなため息がでてしまった。

 「あら、田中さん、どうしたの?お疲れじゃん」

 向かいの席に同期の岡崎信子が座った。

 「そりゃ、疲れるよ・・・今日で6日連続勤務だよ~」

 決まった曜日に休みが取れる仕事ではないとわかっていたつもりだが、さすがに1週間休みが無いと辛い。

 「同期の山本君は8勤だって。6勤なんてまだまだでしょう。頑張れ~田中さん。今働けばGWに休みくれるかもよ」

 「それだってお店に寄るじゃん。あ~やっぱりスーパーなんて止めておけばよかった~」

 疲れているから弱気になっているというのもあるが、最近遠藤からのメールが少ないというのが一番の理由だ。カレンダー通りの休みの仕事なら土日遠藤に会うことができたのに・・・。

 「まあまあ、そういわずに。ねえ、配属先の店、決まったら同期のメンバーで飲み会しない?うーん、次のシフト・・・5月の終わりぐらいでみんなで休み合わせてさあ。どう?」

 あまり気が進まなかったが、遠藤のことばかり考えている自分自身が嫌になってきたこともある。これは外に考えを向けて仕事仲間と遊んでもいいかもしれない、と真美子は思った。

 「・・・いいよ。岡田さんが仕切ってくれるなら・・・」

 「よっしゃ!任せといて!みんなに声かけておくね!」

 休憩が終わって部屋を出て行く岡田を見ながら、真美子は飲み会の前に家で就職祝いがあったなあ、遠藤君、きてくれるかな、と考えていた。


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