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官能小説もどき

フルタイムで働きながら官能小説家としてデビューも狙っているかみやなぎです。ひとまずの目標は毎日更新です。

「三姉妹 三女 真美子1」

「あれ?よし姉ちゃん?」

 三月最後の土曜日、真美子は遠藤と一緒にファミリーレストランで遅いモーニングを食べていた。窓から見える道路には、土曜日なのに車や人が多い。その人の中に佳美によく似た女性を見たのだ。

 後ろ姿なので顔はわからないが、真美子が欲しかったあるブランドのバッグを持っているその女性は背格好や髪形が佳美によく似ていた。

 「ん?お姉さん?」

 向かいに座っていた遠藤が真美子の視線の先を見た。スーツを着た男性と一緒に歩いている。

 「あれ?アッチの方向は・・・」

 佳美によく似た女性とスーツ姿の男性は、先ほどまで真美子たちがいた方向へ歩いていった。

 「あらら」

 行き先はラブホテル街だ。遠藤と真美子も1時間ほど前にそこから来たのだった。

 「・・・よし姉ちゃんと・・・隣の人は、辰夫さんかな?」

 「辰夫さんって、お姉さんの旦那さん?・・・へえ~、夫婦になってもラブホにいくんだ・・・ラブラブだね、お姉さん夫婦」

 遠藤がぼそっと言う。

 なにもラブホテルに行くとは限らないが、そうね、と同意しておいた。

 「同じ部屋でやっていたら飽きてきちゃうんじゃない?」

 「真美子みたいに、お姉さんも声、大きいにかもよ~。近所迷惑になるからエッチはホテルでするんだよ~」

 にたにた笑いながら、真美子を見つめる。その言葉で昨日の痴態を思い出して、真美子は恥ずかしくて話題を変えた。 

 「あ~あ~、土曜日にゆっくりできるのも今日が最後かも・・・」

 道行く人たちは休日の土曜日を楽しむためにどこかへ出かけるように見えた。

 「そんなことないだろ。スーパーで働いてる人みんなが土日絶対出勤って訳じゃないぞ。用事があったら休ませてくれるよ」

 ドリンクバーでお代わりをしたコーヒーを飲みながら遠藤は言った。

 「それに、平日休みならどこにいってもすいているじゃないか。真美子は人ごみ嫌いだからちょうどいいだろ」

 む~、それはそうなんだけど・・・

 「・・・でも、遠藤君と会いにくくなるかもしれないじゃん・・・」

 遠藤と真美子は付き合い始めて1年ちょっと。真美子はこの4月から地元スーパーに就職が決まっている。サービス業なので土日祝は仕事なのはわかっていたが、遠藤と全く休みが合わないことを気にしていた。

 「まあ、今までみたいに会うのは難しいだろうけど、仕事に慣れたら真美子の休みに合わせて有給とれるだろう。今から気にするなよ」

 お互いに新入社員だ。4月からは仕事を覚えるのでしばらくは忙しいだろう。だから昨日の晩から2人でお泊りデートなのだ。

 「で、どうする?今晩も帰らなくていいのか?」

 家に帰っても誰もいない。2人の姉は結婚して出て行った。父親は真美子が高校生のときに亡くなり、母も3年前の佳美の結婚直後に逝ってしまった。まだ学生だった真美子は二人の姉に卒業まで面倒を見てもらったのだ。

 感謝はしている・・・でも・・・

 「うん、大丈夫。これから何しよう?」

 「そうか、良かった。じゃあ、映画でも観て・・・行きたいところある?」

 今日は一杯遠藤を感じたい。

 「遠藤君と一緒ならどこでも」

 しばらく考えていた遠藤だが、

 「じゃあ、映画の後はまたホテルかな?いい?」

 と言った。

 優しく微笑む遠藤の顔をまともに見れずに、少し俯きながら真美子は頷いた。

  

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