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官能小説もどき

フルタイムで働きながら官能小説家としてデビューも狙っているかみやなぎです。ひとまずの目標は毎日更新です。

やりたい盛り 30

 一瞬、表情がこわばったが、陽一は半分ほど祐美の中にペニスを挿入すると、また快感に覆われた。

 「あ、ああん! 意地悪……」

 もぞもぞと動く祐美から逃れるように腰を引く。くちゅっと言う音がして、ペニスが抜かれた。

 「ああ……」

 落胆の声が漏れる。

 「ほら、誰が渡したか教えてよ。教えてくれたら、これを奥まで入れてあげるよ」

 入口を先端でかき混ぜた。くちゅ、ぐちゅ、粘膜が卑猥な音を出した。

 濡れた目で陽一を見る裕美は、もう以前の祐美の面影はない。快感に支配された女の顔だった。

 「……お、女の人……あ……」

 先端を入れた。祐美の粘膜が蠢いているのがわかる。

 「女? そうか……」

 やはり、相田さんか……、でもなんのために? チーフに売った復讐か?

 ぐっと祐美の腰を掴んだとき、もう一度祐美が喘いだ。

 「ああ……、駄目ぇ! 入れてぇ……」

 濡れた目で懇願する女の顔を確認すると、陽一はゆっくりと腰を沈めた。



 次の朝の開店前、陽一は祐美が持っていた写真を手にサービスカウンターに来ていた。相田に話をするために。

 「あら、岡本君、今日は早いのね。どうしたの?」

 カウンターを拭いていた相田は手を止め、陽一のほうを見た。幸い、周りにほかの従業員はいなかった。

……この、女……

「どういうつもりですか? この写真、祐美に渡したの、相田さんでしょ?」

目の前に出された写真を見て、相田は、ふ、と笑った。

「何回見ても、よく撮れてるわよね、これ。AVのワンシーンみたい。ちょっと、売れそうじゃない?」

 「笑いごとじゃないです! どうして祐美にこんな写真渡したんですか!?」

 写真と陽一の顔を見比べ、相田はちょっと顔をしかめた。

 「どうしてって……、彼女が可哀そうだなって思ったからよ」

 置かれた写真を指先で摘み上げ、ひらひらと動かしながらカウンターを拭きだした。

 「そうでしょう? 年上の女の中に何度も射精しても、自分の彼女にしない彼氏なんて。私だったら泣いちゃうわ」

 相田は泣きまねをしながら写真を投げ渡した。

 「だから親切に教えてあげたのよ。浮気相手からだったら修羅場になるんだろうけど、幸いこの写真には私の顔は映ってないし。それにちょっとした刺激になるかなって」

 「刺激って……、そんな生易しいもんじゃないだろう!」
 思わず大声がでた陽一をたしなめるように相田が言い加えた。

 「そう? 今朝祐美ちゃんからメールがきたけど? ほら、仲直りしましたって」

 相田はピンクのスマホを陽一の目の前にかざした。

 「何? これ……」

 見覚えのある祐美の画像とメールがあった。

 相田へのお礼と陽一と会って仲直りした、自分にも悪いところがあるから直すようにして付き合いを続ける、と書かれてあった。

 「なんていうか、私、ちょっと感謝されてる感じ? 良かったじゃん、仲直りできたってことはエッチも満足できたんでしょう? 岡本君にも感謝して欲しいわ。あ、チーフが来たわよ」

 店の奥から、相変わらずやる気のなさそうな顔をしたチーフがやってきた。

 「よお、岡本、今日は早いなあ。あんまり店で大声だすなよ。調理室まで聞こえたぞ。お、相田ちゃんも早いねえ。何? 俺がいながら岡本とデートの約束でもしてんの?」

 朝の準備を始めていたのか、チーフの体からは油の臭いがして陽一は吐き気をもよおしたが、それは臭いだけが原因ではないようだった。

 「違うわよ。岡本君の彼女からメールが来たから見せてあげていたの。あの写真で仲直りしたんだって」

 「へえ~、良かったじゃん。俺の撮影のおかげだな。それじゃあ仲直りのお礼を請求しなくっちゃな」

 「はあ? なんでそんな話になるんですか? もとはと言えば……」

 と言いかけて陽一は口をつぐんでしまった。もとはと言えば自分が相田の誘惑に乗ったことが原因だ。誰も責めることはできない。

 「ん? お礼ったって祐美ちゃんも多分喜ぶと思うよ~。だって目覚めちゃったんだろ?」

 いやらしく笑うチーフと相田が考えていることを想像すると、陽一は気持ち悪さと変な昂揚感と混じったおかしな感覚を覚えた。


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