「ね?なかなかいいでしょ?」
そういいながらトオルは身体を前後に動かしている。座っている椅子が傾き今にも後ろに倒れそうだ。
まるで小学生ね・・・
そう思いながら、真理子は予備校の結果をもう1度見た。この調子なら第1志望の大学は大丈夫そうだ。春の成績を思い出し、真理子は胸を撫で下ろした。
「・・・うん、思っていた以上にいい成績ね。先生も嬉しいわ。」
「・・・でしょ?じゃあ、今晩は泊まって行ってくれる?」
真理子の小ぶりのボストンバッグを見ながら、甘えたように話すトオル。
ここに来るまでに何度断りの電話をしようと思ったか。でもしなかった。最初は「お願い」を聞くだけだったが、だんだんその先を期待する自分もいてる。トオルが気になる・・・成績もだけど・・・せめて試験まではどんなことをされても傍にいたいと思うようになっていた。
でも・・・・
心配事はある。一つはトオルの父、和明のことだ。あの晩のことを考えると、身体がムズムズして硬くなるべきところが何もしなくても反応してしまうようになっていた。また何かあったら断れる自信がない・・・それにトオルはあの晩のことを知っているのだろうか?
「・・・お父様はこのこと、ご存知なのかしら?」
「ああ、今朝話したらいいって言ってたよ。先生には一階の部屋を使ってもらえって。
今日は・・・もうすぐ帰ってくるんじゃないかな。」
屈託なく話すトオルを見て、和明とのことは知られていないと感じた。ボイスレコーダーのことも知らないだろう。
「・・・そう・・・」
お泊りのことを父親が知っていて許しているのなら、トオルも迫ってくることはないだろう。それに一つ屋根のしたに息子がいるのだから、和明も手をだすことはないだろうと思った。
「・・・いいわよ。今晩はトオルくんちに泊まるわ。ちゃんと着替えももってきたし」
そういうとトオルは思いっきり万歳をして、反り返った。
「やったー!」
本当に小学生みたい・・・そんなふうに感情を表現するトオルを愛しいと思ってしまう。
「でも、今日はみっちり勉強するわよ!!」
仕事をきっちりしてこその「お願い」ですから。そう考えながら、今日の分のテキストを開く。
「ほいほ~い。勉強のためにお泊りするんだもんね。よろしくお願いしますよ、せ・ん・せ・い」
言い終わらないうちにトオルは真理子の頬にキスをした。
その後、真理子が仕事モードになるまで少し時間がかかった。
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