2ntブログ

官能小説もどき

フルタイムで働きながら官能小説家としてデビューも狙っているかみやなぎです。ひとまずの目標は毎日更新です。

「初めては先生と」11


 「ね?なかなかいいでしょ?」

 そういいながらトオルは身体を前後に動かしている。座っている椅子が傾き今にも後ろに倒れそうだ。

 まるで小学生ね・・・

 そう思いながら、真理子は予備校の結果をもう1度見た。この調子なら第1志望の大学は大丈夫そうだ。春の成績を思い出し、真理子は胸を撫で下ろした。

 「・・・うん、思っていた以上にいい成績ね。先生も嬉しいわ。」

 「・・・でしょ?じゃあ、今晩は泊まって行ってくれる?」

 真理子の小ぶりのボストンバッグを見ながら、甘えたように話すトオル。

 ここに来るまでに何度断りの電話をしようと思ったか。でもしなかった。最初は「お願い」を聞くだけだったが、だんだんその先を期待する自分もいてる。トオルが気になる・・・成績もだけど・・・せめて試験まではどんなことをされても傍にいたいと思うようになっていた。

 でも・・・・

 心配事はある。一つはトオルの父、和明のことだ。あの晩のことを考えると、身体がムズムズして硬くなるべきところが何もしなくても反応してしまうようになっていた。また何かあったら断れる自信がない・・・それにトオルはあの晩のことを知っているのだろうか?

 「・・・お父様はこのこと、ご存知なのかしら?」

 「ああ、今朝話したらいいって言ってたよ。先生には一階の部屋を使ってもらえって。
今日は・・・もうすぐ帰ってくるんじゃないかな。」
 

 屈託なく話すトオルを見て、和明とのことは知られていないと感じた。ボイスレコーダーのことも知らないだろう。

 「・・・そう・・・」

 お泊りのことを父親が知っていて許しているのなら、トオルも迫ってくることはないだろう。それに一つ屋根のしたに息子がいるのだから、和明も手をだすことはないだろうと思った。

 「・・・いいわよ。今晩はトオルくんちに泊まるわ。ちゃんと着替えももってきたし」

 そういうとトオルは思いっきり万歳をして、反り返った。

 「やったー!」

 本当に小学生みたい・・・そんなふうに感情を表現するトオルを愛しいと思ってしまう。

 「でも、今日はみっちり勉強するわよ!!」

 仕事をきっちりしてこその「お願い」ですから。そう考えながら、今日の分のテキストを開く。

 「ほいほ~い。勉強のためにお泊りするんだもんね。よろしくお願いしますよ、せ・ん・せ・い」

 言い終わらないうちにトオルは真理子の頬にキスをした。

 その後、真理子が仕事モードになるまで少し時間がかかった。

 
   
小説(官能小説) ブログランキングへ

官能小説ランキングに参加しています。よろしくお願いします。

PageTop

「初めては先生と」12

 車の運転をしながら、正面の時計を確認する。

 PM10:15

 少し遅くなったな・・・


 和明は少しアクセルを踏み込んだ。

 今朝、真理子先生を泊めたいとトオルに言われた時、どうして断らなかったのか、なぜ香織の部屋を使えと言ってしまったのか・・・

 まだ、想ってしまうのはトオルも俺も一緒なのかもしれないな・・・
 
 助手席を横目で見る。先週にはここで悶える真理子がいてた。涙を流し、全身を震わせて・・・

 ボイスレコーダーで脅すようなことをするつもりではなかった。ただ確認してもらうだけだったのだが、緊張して引きつる真理子の顔を見たら、欲情を止めることができなくなってしまった。

 トオルに対しての嫉妬なのかな。
 

 入試直前に起こった出来事は和明自身も責任を感じていた。感情的になる千恵をうまくフォローできなかった上に、千恵を抱こうとすると香織の姿が脳裏をかすめ、自身がうまく機能しなくなってしまった。そのことでも千恵は落ち込み、あんなことになった。

 タイミングも悪かったんだろう。あの晩は仕事が長引き、家に帰るのが遅くなってしまった。トオルはなぜか和明のベッドで眠っていた。千恵は同窓会かなにかで飲んでかなり酔っていた。ベッドで寝ていたトオルと和明と間違えたか。千恵は部屋に入ってきた和明の姿を見て、泣きじゃくり、トオルは放心していた。

 それからのトオルは昼も夜もぼんやりとしていて、恐れていたとおりに受験に失敗した。
その責任を感じて千恵は家を飛び出し、トオルと和明はまた2人だけの生活になった。浪人生なので予備校に通わせることにしたが、授業は居眠り、試験は散々な結果。これではダメだと近くの公立大学の現役生に家庭教師を頼むことにした。

 初めは男子学生を選ぶつもりだったが、履歴書の中の真理子先生の写真を見て、和明は息を呑んだ。

 ・・・香織!

 出会った頃の香織がそこにいた。肩より少し長い黒髪、奥二重の目、少し厚い唇・・・

実際に会ってみると、香織に似ていることがますますわかった。笑うと目がなくなってしまうところ、相槌を打つ時に伏せ目がちになるとこと、話し方がゆっくりなところ。
トオルのためではなく、自分自身のために真理子先生を選んだようなものだ。

 香織によく似た女性がトオルと一緒に過ごしている、それだけで心が落ち着いた。でもきっとトオルは真理子先生が母親に似ているとは感じていないだろう。トオルが物心ついたときは香織はもう病状が進んでいて、薬の副作用などで出会ったころの面影はなかったからだ。

 薬を変えるたびにあいつは気にしていたなあ・・・

 太るとか、むくむとか。外見ばかり気にして、飲むのが嫌だというので、よく言い合いをしたことを思い出した。



   
小説(官能小説) ブログランキングへ

官能小説ランキングに参加しています。よろしくお願いします。

なんだか全然官能小説っぽくないですが、
濡れ場はもう少しお待ちくださいね。

PageTop

「初めては先生と」13

 トオルが大きくなり、二階の部屋を子供部屋にしたら、香織は、トオルが夜泣くかもしれない、ベッドから落ちるかもしれない、だから隣の部屋で寝たいと言い出した。階段があるから疲れるぞといったが聞かなかった。夜中に何度もトオルの部屋を覗き、何事もなければ安心していた。でも病状が進み、やはり階段がつらくなってきたようなので一階の居間の隣を香織の部屋に変えた。
和明は仕事を香織の看病のため休職にしてもらい、家では二人の時間を楽しんだが、一階に部屋を変えたときにはもう寝たきりのような生活だった。気分のよい日は二人で音楽を聴いたり、トオルの写真を整理したりした。

 一度、香織が抱いて欲しいと言ってきたときがあった。トオルが生まれてからも少ないながら夫婦生活はあったが、入退院を繰り返すようになってからはまったくしていなかった。香織も求めてこなかったし、和明のほうは香織の体力が心配でそんな気持ちにはなれなかった。

 どうしてあの時に香織の望むようにできなかったのか今でも悔やんでいる。

 香織の身体が心配だった。抱けば消えてしまいそうな気がしたから。その時はただ胸に抱きしめ一晩をすごしたのだ。

 その数日後、香織の容態は急変し病院に行ったまま、帰ってくることはなかった。



 トオル・・・晩飯はどうしたんだろう?真理子先生の分も用意していただろうか?

 家に着き、玄関の鍵を開けると、キッチンから話し声が聞こえた。

 「ただいま」

 キッチンを覗くとトオルと真理子先生が何か作っていた。

 「お帰り、親父。飯食ってきた?」

 「いや、家で何か適当に作ろうかと思っていたけど・・・何か用意してくれてるのか?」

 テーブルの上にはオムライスとスープがあった。

 「じゃあ、一緒に食べようか。真理子先生が作ってくれたんだ。美味しそうだろ?」

 オムライスは久しぶりだ。トオルがまだ幼稚園ぐらいの時、よく香織が作ってくれたなあ。

 「・・・おじゃましています。今日はこちらでお世話になります。」

 エプロンをつけた真理子先生が立っていた。

 「あ、いえ、こちらこそトオルが我儘を言いまして・・・ご迷惑ではなかったですか?」

 和明は椅子に座りながら、注意深く真理子の表情を見た。少し緊張しているようだが、それは仕方が無いことだろう。

 「・・・いえ、トオルくんのヤル気がでて、成績があがるのでしたら・・・、あ、オムライスでよかったですか?私あまり料理が得意ではなくて・・・」

 綺麗に焼けた卵の上にケチャップがかかっている。

 「とても美味しそうですよ。オムライスは大好きです。」

 「ダメだよ、先生。親父はたいがいの食い物は美味いっていうからさ。この間も俺が作った肉じゃが、醤油とソース間違えたやつも美味いって食ってたんだぜ。」

 ふふふ、と真理子が笑った。和明は真理子がいてる空間だけ、20年前に戻っているような気がした。



   
小説(官能小説) ブログランキングへ

官能小説ランキングに参加しています。よろしくお願いします。


ブログなので1日1回継続的に更新できればいいのですが
この話、長くなりそうなので少しピッチをあげて
更新していきたいと思ってます。



PageTop

「初めては先生と」14

お風呂に先に入らせてもらった真理子は、トオルが掃除をしたという部屋のベッドに座っていた。
 トオルと和明は真理子が作ったオムライスを美味しいといって、全部食べてくれた。久しぶりに女性が作った料理を食べたと、和明は嬉しそうに話した。その時、真理子は(あれっ?)っと思ったが、そのことを尋ねるのは失礼かと考えた。

 (確か、初めてここにきた時にはお母様にお会いしたけど・・・)
 
 何か事情があるのだろうか、でもわざわざ聞くのも・・・と思っていたとき、ドアがノックされた。

 「・・・真理子先生、もう寝た?」

 ドアには鍵がついていたので、一応かけていたのを思い出した。

 慌てて、鍵をはずしドアをあけた。そこにはお風呂上りのトオルが立っていた。

 「どうしたの?何かわからないことでもあった?」

 「・・・いや・・あ、ああ、そうなんだ。今から少しだけ教えてもらえるかな?」

 二階のトオルの部屋へ入り、いつものように机の前に座ろうとしたら、

 「あ、いや、本当はそうじゃなくて・・・」

 俯きながらベッドに座るトオル。ギシッときしむ音が部屋に響いた。

 「・・・何?・・・」


 トオルが次に何を言うのか・・・泊まって欲しいっていうぐらいだから・・・
と真理子は色々考えをめぐらしていた。

 「・・・俺が、寝るまで添い寝して欲しいんだ。」

 添い寝?

 「・・・最近、眠れなくって・・・っていうか寝ても夢で目がさめるんだ。春にもこんなことがあって、だいぶマシになったんだけど・・・」

 19歳の青年が添い寝を頼んでいる・・・

 「・・・先生が傍にいてくれたら、夢見ないような気がするんだ。・・・ダメかなあ・・・こんなお願い。」

 セックスではなかったのね・・・落胆とも安堵ともつかないため息をついてしまった。

 「・・・いいわよ。寝不足で体調不良になっても困るし・・・添い寝だけよ?」

 真理子がそう言うと、パッと目を輝かして、いそいそとベッドを空けた。

 「じゃあ、先生、ここに来て。」

 シングルベッドに二人は狭い。トオルが右腕を出していたので、真理子はその上に頭を置いた。

 「腕枕したら、しびれちゃうよ?」

 左手で真理子のまだ湿っている髪を撫でながら、トオルはもう眠たそうな声を出した。

 「・・・う・・ん、大丈夫。・・・先生、いい匂い・・・」

 髪を触っていた手が耳を撫で、首筋を這い、真理子の顎をつまみ軽く顔を上げさせた。

 柔らかく暖かい唇が真理子の唇に重なった。遠慮がちに舌先が唇のすきまに入ってくる。

 「・・・んん・・・」

 キスの間にトオルの左手は、真理子のスエットのすそから入り込み、無防備な胸に触れた。

 「・・・あ、あん・・・」

 キスの途中で声が漏れてしまう。トオルの指は敏感なところをなで上げ、真理子の乳首は胸の真ん中で激しく主張しはじめた。

 「・・・や・・あん・・・添い寝って・・・言ったのに・・・」

 「あ・・・ごめん。つい・・・触ると気持ちいいし、安心するから。」

 トオルはそっと手を離すと、スエットの乱れを直し、真理子の背中をまるで赤ちゃんを寝かせるかのようにトントンとした。

 「・・・先生とは、まだ・・・しない・・よ・・・」

 そういうとトオルは静かな寝息を立て始めた。
 至近距離でみるトオルの目の下には薄っすらとクマができていた。

 本当に眠れてないのかしら・・・

その寝顔を見ながら、ちょっと火照った身体をどうしようか悩む真理子も、規則正しいトオルの寝息を聞きながら眠りに落ちていった・・・



   
小説(官能小説) ブログランキングへ

官能小説ランキングに参加しています。よろしくお願いします。


濡れ場がないとランキングが下がっちゃうよ、って言われちゃいました・・・
ポチしてくれたら嬉しいです♪



PageTop

「初めては先生と」15

  トントン、と肩を叩かれたような気がした。目を開けると横にトオルがさっきと変わらない体勢で眠っていた。

 「・・・真理子せんせい・・・」

 頭上で声がした。あわてて身を起こすとベッドの横に和明が立っていた。

 「・・・わ、私・・・」

 トオルと寝ているところを見られてしまった!言い訳を考えてみたが、言葉がでてこない。そんな真理子に和明は指を口元に当て、部屋を出るように手振りをした。

 そっとドアを閉めたところで、真理子は理由を説明しようとしたが、和明はわかっているというように頷いた。

 「何か飲みながら話しましょうか?」



 「・・・トオル、あいつ不眠症なんですよ。4月にもそれで悩まされてね。病院にも行ったんですが・・・」

 真理子は一階の部屋でベッドに座って、和明はソファに座っていた。手にはウイスキーの水割りがあった。あまりお酒に強くない真理子だったが、少しずつ飲みながら和明の話を聞いていた。

 「不眠の原因は・・・まあ、家庭の事情ってやつなんですが・・・私、再婚なんですよ。
前の妻は身体が弱く、トオルが小学生の頃、亡くなりました。」

 真理子にとっては初めて聞くことだった。トオルは母親の話は一切しなかったからだ。

 「2年前に年下の女性と結婚しましたが・・・今は別居中です。いや、お恥ずかしいことですが、トオルの受験の失敗を自分のせいだと妻が思い込んで・・・それを気に病んでトオルは眠れなくなったようです。」

 「・・・そうだったんですか・・・」

 トオルのあの子供っぽい行動や無理な「お願い」をすることも、なんとなくわかったような気がした。
 それに・・・
 先週、車の中で無理やりに襲われた時には感じられなかった穏やかさを和明に感じた。

 「・・・アルバム、見てみますか?あまり家族で出かける機会がなかったので、写真少ないんですが。」

 和明は本棚に並んでいた薄い冊子を手に取り、真理子の横に座った。

 「これがトオルです。」

 黒髪の女性が腕の中に小さな赤ちゃんを抱いている写真だ。

 「・・・トオルくん、可愛いですね。」

 赤ちゃんも可愛かったが、真理子は黒髪の女性に視線を奪われた。

 (この人が、トオルくんのお母さん・・・) 

 次のページには、動物園だろうか、バックにキリンが写っていて、手前にトオルと母親が笑っている写真があった。

 「これは保育園の時のものですね。たぶん家族で出かけた最後の写真じゃないかな。」

 真理子はそういう和明の横顔を眺めた。心なしか目が潤んでいるようにも見える。

 アルバムの最後には和明と女性の二人の写真。結婚直後だろうか、今の真理子とさほど変わらないような歳のように見えた。背の高さや体つきは真理子と同じような感じだ。
和明ももちろん若い。こうみるとやはりトオルとは親子なんだと思う。

 「・・・トオルくん、やっぱり、お父さんによく似ていますね。目元なんかそっくりですよ・・・」

 モテただろうなあ、と真理子は思った。でも、隣にこんなに可愛い彼女がいたら、周りの女の子たちはあきらめるだろう。

 「・・・お父さんってのは、やめてくださいって、言ったでしょ?」

 えっ?と真理子がアルバムから顔を上げると、和明の両手が頬を包み込んだ。

 抵抗する間もなく、唇が重ねられる。少し厚く暖かい。

 「・・・今晩だけ、私の腕の中にいてもらえませんか?」





   
小説(官能小説) ブログランキングへ

官能小説ランキングに参加しています。よろしくお願いします。



↑こちらをポチ♪お願いします。


自分で書いてて思うんですが、真理子せんせい、モテモテですなあ。

PageTop